アニメーション映画祭として、世界最大級にして最古の歴史を誇る「アヌシー国際アニメーション映画祭」が今年もフランス・アヌシー市にて開催されました(会期:6月10日〜6月15日)。かつては宮崎駿監督や高畑勲監督が最高賞を受賞、近年では湯浅政明監督が『夜明け告げるルーのうた』(2017年)にてグランプリ、片渕須直監督が『この世界の片隅に』(2017年)にて審査員賞を受賞するなど日本でも大きな話題となっています。
年々盛り上がりを増す本映画祭には、アニメーション見本市である「MIFA」も併催されており、映画祭同様に注目が集まっています。映画祭およびMIFAでは、毎年1カ国を「名誉国」として選び、焦点を当てて紹介しています。今年は、その「名誉国」として日本が20年ぶりに日本が選ばれました。
世界中からクリエイターやプロダクション、バイヤー、ディストリビューターが集まるアヌシーで、私たちは日本のアニメーションの最新の動きを産学官連携して伝えました。
岡本美津子氏(東京藝術大学副学長)を総合ディレクターに迎え「NEW MOTION The Next of Japanese Animation」というテーマのもと、次世代を担う人そして技術を伝えるべく、フェスティバル上映やMIFAでの展示を行いました。
次世代を担う作家を紹介する「NEW MOTION Creator’s File 2019」を企画。そこに登録される26名のクリエイターを選出し彼らをブックレットで紹介するほか、ジャパンブース入ってすぐのコーナーにiPadによる26作品の展示上映を行いました。
和田淳監督『私の沼』『マイエクササイズ』の展示や、新海誠監督とAR三兄弟のコラボインスタレーション『新海誠の世界から採取したデジタル標本、および再生システム。』、湯浅誠監督最新作『きみと波にのれたら』などを紹介したコーナー、さらにアニメーションから派生したゲームの展示など、日本のアニメーションの多様性が伝わる展示構成としました。6月12日(水)と6月13日(木)に行ったアーティストトークへは特に多くの方が来場し、作家へ熱心に質問を投げていました。
和田淳監督コーナー | 湯浅誠監督コーナー |
新海誠監督×AR三兄弟作品 |
アーティストトーク |
今年は初めて企業や大学とのコラボレーションを行い、凸版印刷株式会社、東京藝術大学、株式会社ピコナ、太陽企画株式会社、アスミックエース株式会社が出展。凸版印刷は新たなコンテンツ作品を開発し、アヌシーで世界プレミア発表となりました。いずれの企業・大学ともに大きなビジネスの成果を上げ、今後の世界進出への足がかりを築くことができました。
凸版印刷の新たなコンテンツ作品 |
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文化庁では、優れたメディア芸術作品を紹介するため、海外のメディア芸術関連のフェスティバル・施設において、文化庁メディア芸術祭の受賞作品を中心とした企画展の開催やパッケージプログラムの上映、専門家によるプレゼンテーション、作家によるワークショップ等を実施しています。企画展では、キュレーターがテーマに基づいた作品選定を行い、現地参加先と共同で展覧会を開催。出展作家は現地に赴き、展示やプレゼンテーション、ワークショップなどを行います。これらの活動を通じて、作家や専門家による現地での交流を促し、国際的な「メディア芸術」への理解と評価向上、文化庁メディア芸術祭の周知と応募促進を行っています。