文化庁委託事業「日本映画海外展開強化事業」の一環として、文化庁とジャパン・ソサエティーは、映像産業振興機構(VIPO)と共同で、ACA Cinema Project シリーズ第2弾を開催します。このプログラムは【FLASH FORWARD: DEBUT WORKS AND RECENT FILMS BY NOTABLE JAPANESE DIRECTORS(デビュー作の風景)】(注1)と題して、12月3日(金)から23日(木)まで、アメリカ全土(一部北米地域)にオンライン配信すると共に、12月11日(土)と17日(金)には、ジャパン・ソサエティー(ニューヨーク市)のオーディトリアムで対面上映を行うハイブリッド・プログラムです。
今回は日本で著名な映画監督である、沖田修一、河瀨直美、阪本順治、塩田明彦、周防正行、西川美和の計6人をフィーチャー。それぞれのデビュー作とその後の注目作を組み合わせて上映し、各監督のキャリアにおける2つの異なる側面を紹介します。
世界三大映画祭の一つであるカンヌ国際映画祭で、カメラドール(新人監督賞)を最年少で受賞した河瀨直美監督のデビュー作『萌の朱雀』(1997)、プロボクサーの自伝小説を本人主演で描いた80年代インディーズ映画の名作・阪本順治監督『どついたるねん』(1989)、同じく80年代後半に仏教の世界を楽しく多彩な視点で描いた周防正行監督の『ファンシイダンス』(1989)、少年時代の思春期と無条件の愛を歪んだ形で描いた塩田明彦監督の『月光の囁き』(1999)、孤独というテーマをシュールにユーモアたっぷりに描いた沖田修一監督『おらおらでひとりいぐも』(2020)、機能不全の人物を巧みに描いた西川美和監督『蛇イチゴ』(2003)など、話題の作品を視聴できる貴重な機会となっています。
また、国立映画アーカイブの協力により、4K修復で蘇った天才・山中貞雄監督の『丹下左膳餘話 百萬両の壷』(1935)、『河内山宗俊』(1936)を北米で初公開。ジャパン・ソサエティーのオーディトリアムで独占上映します。小津安二郎や成瀬巳喜男と同時代に活躍した山中貞雄は、28歳の若さでこの世を去り、生涯の作品数は少ないながらも評価の高い作品を残している巨匠であり、熱烈なヒューマニズムを持ちあわせ、喜劇、ドラマ、悲劇を自在に操る山中のストーリーテリングは、時代劇の近代化に貢献し、黒澤明、鈴木清順、黒木和雄など多くの映画人に影響を与えました。
さらに、前回に続いて今注目の若手監督計6人の作品を無料オンライン上映いたします。
日本映画の多様な魅力を海外に向けて発信する ACA Cinema Project にぜひご注目ください。
(注1)Flash forward:未来へ飛ぶ、未来を現出するという意味と共に、映画や演劇等の演出において、未来・将来の場面やシーンを瞬間的に挿入する技法のことを指す。
FLASH FORWARD:
DEBUT WORKS AND RECENT FILMS BY NOTABLE JAPANESE DIRECTORS
開催期間 | 2021年12月3日(金)~23日(木) |
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上映内容(作品数) | ① DEBUT WORKS AND RECENT FILMS(12本) ※オンライン配信(有料) ② FOCUS ON SADAO YAMANAKA(2本) ※12/11、17 にNYで対面上映(有料) ③ FILMMAKERS ON THE RISE(6本) ※オンライン配信(無料) 合計20本 |
トークイベント | ① Flash Forward: Conversations with the Filmmakers ② Panel Discussion: Debut Works and Beyond ※オンライン(無料/アーカイブ配信/全世界で視聴可能) |
配信サイト | http://film.japansociety.org |
主 催 | 文化庁、ジャパン・ソサエティー |
運 営 | 特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO) |
協 力 | 国立映画アーカイブ ※FOCUS ON SADAO YAMANAKA(2本)上映のみ |
注意事項 | ・作品により、アメリカもしくは北米地域のみ視聴可能 ・オンライン上映チケット:11/15(月)より発売開始(視聴可能地域のみ購入可) ・対面上映チケット:11/15(月)より発売開始 ・トークイベントはアメリカもしくは北米地域以外からも視聴可能 |
① DEBUT WORKS AND RECENT FILMS (監督名五十音順)
沖田修一監督 | 『南極料理人』The Chef of South Polar(2009) 『おらおらでひとりいぐも』Ora, Ora Be Goin’ Alone(2020) |
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河瀨直美監督 | 『萌の朱雀』Suzaku (1997) 『Vision』Vision(2018) |
阪本順治監督 | 『どついたるねん』Knockout(1989) 『団地』The Projects(2016) |
塩田明彦監督 | 『月光の囁き』Moonlight Whispers(1999) 『さよならくちびる』Farewell Song(2019) |
周防正行監督 | 『ファンシイダンス』Fancy Dance(1989) 『カツベン!』Talking the Pictures(2019) |
西川美和監督 | 『蛇イチゴ』Wild Berries(2003) 『永い言い訳』The Long Excuse(2016) |
② FOCUS ON SADAO YAMANAKA
山中貞雄監督 | 『丹下左膳餘話 百萬両の壷(4Kデジタル復元・最長版)』 Tange Sazen and the Pot Worth a Million Ryo 4K Digitally Restored and the Longest Version(1935) 『河内山宗俊(4Kデジタル復元版)』 Priest of Darkness 4K Digitally Restored Version(1936) |
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③ FILMMAKERS ON THE RISE(監督名五十音順)
金子雅和監督 | 『アルビノの木』The Albino’s Trees(2016) |
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佐々木想監督 | 『サトウくん』A Boy Sato(2017) |
内藤瑛亮監督 | 『許された子どもたち』Forgiven Children(2020) |
箱田優子監督 | 『ブルーアワーにぶっ飛ばす』Blue Hour(2019) |
三宅響子監督 | 『波の向こう』My Atomic Aunt(2013) ほか |
① Flash Forward: Conversations with the Filmmakers
沖田修一、河瀨直美、阪本順治、塩田明彦、周防正行、西川美和の6人の監督が、デビュー当時からの映画制作の過程や業界の変化を振り返ります。
② Panel Discussion: Debut Works and Beyond
アーロン・ジェロー氏の司会のもと、角田拓也氏、山﨑順子氏、ジャスパー・シャープ氏が、「Flash Forward」で紹介する日本の6名の監督とその作品について語るとともに、それぞれの監督がデビューした当時の文化的背景や映画業界について議論します。
【司会】アーロン・ジェロー(イェール大学 東アジア言語・文学・映画研究 教授)
ACA Cinema Projectについて
海外における日本映画の上映機会の創出と海外展開を促進する目的で開催される文化庁委託事業「日本映画海外展開強化事業」の日本映画上映プロジェクト。上映だけでなくシンポジウム等も併せて実施し、海外における日本映画や製作者の知名度の向上を図る。特に今回は映画文化の一大拠点であるアメリカでの上映会をジャパン・ソサエティーと共に企画・実施し、幅広い日本映画を紹介していく。
https://www.vipo.or.jp/project/aca_cinema_project_r3/
ジャパン・ソサエティー(JS)について
1907年(明治40年)にニューヨークに設立された米国の民間非営利団体。全米企業最大の日米交流団体として両国間の相互理解と友好関係を促進するため、多岐に渡る活動を1世紀以上にわたって続けている。その活動範囲は、政治・経済、芸術・文化、日本語教育など幅広い分野にまたがる各種事業や人材交流などを通じて、グローバルな視点から日本理解を促すと同時に、日米関係を深く考察する機会を提供している。JSは日米の個人・法人会員をはじめ、政財界のリーダー、アーティスト、教育関係者、学生など様々な参加者を対象に年間約200件のプログラムを提供している。
https://www.japansociety.org
日本映画の海外展開を強化するため、欧米の映画先進国において日本映画の上映を実施するほか、日本の映画人材の技能向上および海外進出促進を目的に、映画関係者等と連携して効果的な短期実研修を実施する事業です。
特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)
e-mail: aca_cinema_project@vipo.or.jp