Asia Content&Entertainment Industry Fair (Ace Fair) 事務局長 咸眞淑氏インタビュー

Asia Content&Entertainment Industry Fair (Ace Fair) 事務局長咸眞淑氏(Alice Ham:Secretariat of ACE Fair/Chief) インタビュー

Asia Content&Entertainment Industry Fair (Ace Fair) 事務局長咸眞淑氏 (Alice Ham:Secretariat of ACE Fair/Chief)

Asia Content&Entertainment Industry Fair(ACE FAIR):大韓民国光州広域市で開催されたオールジャンルコンテンツイベント。
光州市が主催し、韓国文化体育観光部、文化コンテンツ振興院が協力して開催され、24の国と地域から、映画、CG、アニメ、ゲーム、放送、教育等のコンテンツ関係企業等約300社が出展し、韓国最大級のコンテンツイベントである。
http://www.acefair.or.kr/

ACE FAIR概要

INTERVIEW

まず、カンファレンスに多大なるご協力を頂きました映像産業振機構(VIPO)石川事務局長とスタッフに関しましてお礼を申し上げます。映画、放送、ゲーム、アニメーションなど韓国のコンテンツの進出状況と、今後の傾向と課題がわかり、ACE FAIRにとっても参考になりました。

Asia Content&Entertainment Industry Fair (Ace Fair) 事務局長咸眞淑氏(Alice Ham:Secretariat of ACE Fair/Chief) インタビューACE FAIRについて教えて下さい

2006年より今年で5回目を迎えアニメーション、キャラクター、放送等を含むオールジャンルのコンテンツ見本市です。光州市が主催し、韓国文化体育観光部、韓国コンテンツ振興院が協力して開催され、24の国と地域から、映画、CG、アニメ、ゲーム、放送、教育等のコンテンツ関係企業等約300社が出展し、韓国最大級のコンテンツイベントです。
コ・フェスタは元々ある映画、放送、アニメーションなどのイベントを総称してコ・フェスタとしたという認識ですが、ACE FAIRは各ジャンルのコンテンツを展示する機会を作ったという感じです。
韓国政府が推進する「アジア文化中心都市造成事業」にも密接にかかわってきます。
2010年には、光州に国立アジア文化の殿堂をオープンさせる予定ですが、この複合施設にはアジア文化交流センター、アジア文化創造センター、劇場、子ども知識博物館などが設置されます。また、韓国インターネット振興院、2012年後には韓国コンテンツ振興院、など文化関連の機関が移動する予定です。
「アジア文化中心都市造成事業」により、「光州が文化都市としてある」という認識が浸透していけば、ACE FAIRの求心力も高まっていくかと思われます。
回を重ねるごとに、ACE FAIRの方向性、例えば、アニメ、キャラクター、放送等に特化し、アジア・欧米間のビジネスマッチングも活性化してきています。

ACE FAIRの成果についてどう感じますか?

1回目は放送・映像コンテンツが中心でしたが、5回目はキャラクターやアニメなどもたくさん展示され、多様性が増しています。今年は80,000人が来場予定(※会期中のインタビューだったため;実数98,000人)です。この時期ソウルではソウル・ドラマアワード、BCWWが、釜山では10月に釜山国際映画祭が開催されます。光州はアニメーション、キャラクター、関係するSFXのイベントとして育ってきているのではないかという感触があります。
ビジネスマッチングの強化については、海外広報活動を年々強化し、出展社数、バイヤー数も増えています。パートナーイベント開拓も強化しており、日本では東京国際アニメフェアTAF、今年からクリエイティブマーケット東京(CMT)などと提携し、各々の広報活動、出展事業をサポートしあっています。
今回コ・フェスタにも香港フィルマートでのMTGから出展につながり、「アジア文化中心都市造成事業CMTとのパートナー関係も派生したので、展示、バイヤーについて国際色を出していくために今後も攻めの出展誘致、広報活動を展開していきたいと思っています。

Asia Content&Entertainment Industry Fair (Ace Fair) 事務局長咸眞淑氏(Alice Ham:Secretariat of ACE Fair/Chief) インタビューコンテンツ業界に関わったきっかけを教えて下さい。

新聞記者として18年働いていました。新聞記者になったのは事実や伝えるべきことを報道し少しでも韓国の人たち、韓国の役に立ちたいと思ったからです。
1987年の民主化宣言から約10年で韓国は意識の開放があり、文化に対しての理解が深まり普及していきました。
光州でも1980年に民主化運動があり、当時の韓国情勢をご存じの方も少なくないのではないかと思います。
1980年代は韓国経済も大変な時期でした。1979年の大統領暗殺により社会経済は混乱し、続く1980年には天候不順による農作物の不作、また、1970年代後半の経済成長、近代化、産業化によるひずみなどで混沌としていました。発展途上中の韓国では「勤勉であること、つつましくすること」などが重視され、文化が発展できるような状況ではなく、イデオロギーが許さなかったように思います。

新聞記者としても韓国社会の意識の変化を感じ取ってきましたが、徐々に社会の意識が芸術や美術に対して向いていき、1998年には金大中大統領が21世紀国家基幹産業として文化産業を育成するという「文化大統領宣言」をしました。宣言により、コンテンツ産業支援体制の整備が急務となり、2000年代になってから特に文化の重要性、産業としての重要性も認識されるようになったように感じます。
1960年代~1980年代に子ども時代を過ごした人が、責任のある仕事についたり、人の親になったりし、国の未来についてやるべきことを考え、実行する力を持ちだしたといったことも大きいのかもしれません。

私も母親になってからさらに文化の重要性を認識した1人です。韓国を支えていくのは人であり、一番の強い力は”人”です。そう考えれば子どもたちを健やかに育てていくことこそ国家の未来につながります。
国家の未来、子どもたちの未来を担うような仕事をしたいと思い、ACE FAIRに関わるようになりました。

ACE FAIRならではの取り組みについて

ビズマッチングの強化、アジア横断的なカンファレンスの企画等については先ほど申し上げましたが、子どもたち向けの学術行事を開催しています。クリエイティブの不思議さ、楽しさを感じてもらえるように参加型、体験型のブースプログラムを多く用意しています。
小学校中学校の宿題でも、ACE FAIRでの体験を課題化していて、どれぐらい体験したかを量るためにスタンプラリーも行っています。
企業ブースについても後半のBtoCデー、最新のコンテンツや仕掛けを用意し、子どもたちに思い切り遊んでもらうようにしているようです。コンテンツのターゲットである子どもたちに、未発表、もしくは超最新のコンテンツを体験させ、反応や様子を見るマーケティングの場とも活用しているようです。

Asia Content&Entertainment Industry Fair (Ace Fair) 事務局長咸眞淑氏(Alice Ham:Secretariat of ACE Fair/Chief) インタビュー

ACE FAIRに参加する子どもたちには何を感じてほしいですか?

私の子どもの頃は、韓国の社会・経済情勢によりいろいろなことをあきらめなければいけませんでした。国のため、社会のためにあきらめるのではなく、今の子供たちには好きなことをして楽しめるようにいてくれれば、大人はいい刺激を子どもたちに与えてあげるようであればいいと思います。
ACE FAIRにより、子どもたちが世界中のコンテンツに触れて刺激を受け、どんな職業に就くにしても創造性豊かな思考を養ってほしい、また、国を支えていく土台の1つとなる文化の重要性について気付いてほしいと思います。

日本のコンテンツに対しての印象

やはりコンテンツの中でもアニメについてはアジアでも突出しています。日本は技術レベルがとても高く、スタジオジブリ、宮崎駿男さんのアニメーション作品は韓国のクリエーターにも多大な影響を与えています。
特殊効果を多用せず、主人公、作品を通じ、人として大切にしていきたい情景、気持ちを思い出させてくれるような世界観をもつものが多い気がします。
お金が中心になる、ショービジネスとしてのコンテンツを作る欧米とは違い、アジアは創造性で勝負する文化創成型です。日本ともアジアとして一体になり、欧米市場に進出していく、その拠点に光州がなればと考えています。

(取材・文 広報室 小林真名実)