韓国文化産業専門大学院 教授 キム・シボム氏インタビュー

韓国文化産業専門大学院 教授 キム・シボム氏 インタビュー

韓国文化産業専門大学院 教授 Si-Bum KIM(キム・シボム)氏

(2010年10月~、元CHARACTERLINE取締役社長)
※インタビュー時 CHARACTERLINE取締役社長

Si-Bum KIM氏プロフィール

CHARACTERLINEブースはキャラクターライセンシング会社の中でも大きく、関連会社も含め会場小間どりにして、12小間を占め、展示スペース、物販スペース、体験スペース、キャラクターとの撮影スペースなど幅広く展開し、人気ブースとなっていた。

INTERVIEW

韓国文化産業専門大学院 教授 キム・シボム氏 インタビューキャラクターのライセンスの会社をはじめたきっかけを教えて下さい。

私は元々韓国の三星(サムスン)グループの総合商社三星物産で働いていました。商社ではマーチャンダイジングを担当しており、仕入れや在庫管理についても知識と経験がありました。商社での正規ルートにてコピーライトを管理された日本の帽子も扱っていました。また、私の家族や親類に弁護士がいて、権利関係の問題について、聞けば教えてくれるような知識を勉強できる環境にあったのも幸いでした。
知的財産ビジネスは在庫を抱えるマーチャンダイジングよりも、在庫を抱えず効率的にビジネス展開できるので、リスクが少ないとも思っていましたし、弁護士を家族にもっていた影響も受け、非常に将来性のあるものだ、と認識もしていました。20年ほど前に今の会社の前身となる会社を設立した当時は、キャラクターを中心としたライセンシングビジネスについてはそれほど盛んではなかった気がします。

韓国の経済危機の影響はありましたか?

キャラクターラインの前身となる会社を作った後に、1997年ごろ韓国は経済危機を迎えました。何を売っていけばいいかというときに、企業の存続と韓国経済を支えるものという点について新たに考え直したときに、キャラクター、コンテンツビジネス、ライセンシングビジネスに本腰を入れて取りかかろうと、1999年にキャラクターラインを設立しました。
その後、キャラクターラインで開発したキャラクターに加え、韓国の良質なキャラクターやコンテンツを海外に紹介したり、海外のキャラクターやコンテンツを、アジア、韓国に紹介する国際的な文化エージェント企業として成長しています。

韓国文化産業専門大学院 教授 キム・シボム氏 インタビューコンテンツ産業の発展について必要なことは?

また、韓国の経済を支えていくコンテンツビジネスをボトムアップするためには、若年層の育成も必要不可欠であると思いました。現在では出身大学の顧問、韓国コンテンツ振興院(KOCCA)のセミナーでの講師、や(社)韓国青年会議所研修院の教授などをしつつ、コンテンツ産業の人材育成についての政府への提案、助言を行っています。
私は、キャラクターラインの代表であるとともに、プロフェッサーとして青少年に主にコンテンツの重要性、コンテンツ産業のために何をすべきかを説いてきました。
クリエイティブ文化産業に新しいビジネスモデルの研究・サポートのための会社として1991年に㈱保圭(Bokuo Corp.)を設立、2008年によりグローバルな視点を取り入れるに伴い、世界文化経営研究院(Culture Buisness Academy International)と名称変更しました。世界のクリエイティブ文化産業の研究、文化産業促進のための政策提言、異文化・ジャンル間のライセンシングビジネスについての助言、文化産業における人材育成プログラム、文化産業関連会社のコンサルタント、文化関連イベントのプロモーションを主旨に掲げ、アニメキャラクターのライセンシングとマーチャンダイジングについて、古典的ストーリーを利用したキャラクタービジネス、文化コンテンツのマーケッターのトレイニングコース、キャラクタービジネスなど活動を展開しています。

韓国文化産業専門大学院 教授 キム・シボム氏 インタビュー韓国でのコンテンツ人材育成のための教育的取り組みについて教えて下さい。

韓国のコンテンツ業界が発展するためにはコンテンツ産業においての人材育成は急務であり、韓国では国、政府も強く認識しています。私は、何年も幾度も政府や業界に対して人材育成の重要性を言い続けてきました。
これからの文化コンテンツ産業を担う若者たちを育成するために、韓国政府の支援により、安東大学校の韓国文化産業専門大学院が2010年3月に創設されました。この大学院は国立で初の文化産業全般のプロフェッショナル育成大学院となります。弁護士や医者になるための大学院に通ったたいていの人がその道のプロになるように、この大学院に進んだ人も。衣類、博物館、公演、デザイン、映画・放送・アニメーションなどに関わるプロフェッショナルになるための教育環境を提供します。
私は2010年10月1日より、韓国文化産業専門大学院の教授として公務員になるためキャラクターライン社の社長を辞め、妻に会社を任せ、コンテンツ業界を担う人材を育てることに注力することになりました。
アニメはアニメのみでお金を稼ぐのは難しい場合がほとんどですが、ファッションやキャラクター商品と結びついてビジネスになります。OSMU(One Source Multi Use)のライセンシング管理されたビジネスモデルをアニメや映画を作る前に描いておくというのが今後さらに当たり前に重要になっていくでしょう。OSMUにはストラテジーが必要です。私が欧米や日本・中国とのビジネスで培った経験と知識を導入し、ストラテジーを描ける、韓国コンテンツ産業にとって素晴らしい人材、主にビジネスプロデューサー、マーケッターを世に送り出していきたいと思っています。
韓国コンテンツのグローバル化をすすめるためにも、この大学院も近い将来英語での授業を実施することを考えています。

(取材・文 広報室 小林真名実)