光州情報・文化産業振興院 IT・CT Industry Department/Marketing Manager 金恩鈴氏インタビュー

光州情報・文化産業振興院(Gwangju Information and Culture Industry Promotion agency:GITCT)Eun-Young,Kim(IT・CT Industry Department/Marketing Manager) インタビュー

光州情報・文化産業振興院(Gwangju Information and Culture Industry Promotion agency:GITCT)Eun-Young,Kim(IT・CT Industry Department/Marketing Manager)

光州情報・文化産業振興院:IT産業を基盤とした文化産業のインフラ整備、情報通信産業の発展と特化、人材育成をミッションに掲げ、関連する光州地域の独自のプロジェクト、アジアのネットワーク構築、マーケティング、ファンドの形成などを実施している。

ACE FAIR概要

INTERVIEW

今回ACE FAIRでの活動について教えて下さい。

今回、ACE FAIRには文化中心都市造成事業ブースにての、文化中心都市造成事業プロジェクトについての認知・広報活動の実施、別ブース「光州情報文化産業振興院(GITCT)」にてコンテンツショーケースとして光州のクリエーター、ゲーム、アニメなどのコンテンツと制作会社24社のPRのために出展しました。

光州情報・文化産業振興院(Gwangju Information and Culture Industry Promotion agency:GITCT)Eun-Young,Kim(IT・CT Industry Department/Marketing Manager) インタビューGITCTとはどんな組織ですか?

GITCTは、2002年に設立されました。クリエイティブ産業をプロモート、特にコンピュータ・ジェネレイテッド・イメージ(CGI)産業のサポートとキラーコンテンツを発掘し、専門人材を育成するための振興組織です。
光州における、文化産業の基盤づくりと活性化・発展、コンテンツの雇用創出などを目標に活動しています。40人ほどのスタッフがおり、マネージメントサポート、企画、ビジネス開発、IT/CT産業サポート、人材育成などの部署にわかれています。また、アジア文化中止都市造成事業についてもサポートしていきます。

アジア文化中止都市造成事業の詳細とは?

ここ光州は歴史的にみても文化と芸術の宝庫だとみなされており、現在では韓国政府が推進する「Hub City of Asian Culture Project:文化中心都市造成事業」の指定都市です。
この事業は韓国文化体育観光部が指揮をとり、2004年から特別法による国策事業として推進されています。文化体育観光部にはアジア文化中心都市推進団があり、このプロジェクトを担当しています。推進団は文化中心都市の造成のための政策及び計画の樹立・推進、施設の建立及び運営、広報及び国際協力、造成委員会の運営支援などの業務を遂行します。
2023年までに約3700億円を投下し、特区も含めたインフラ整備をします。
目的はアジアにおける多様な文化とリソースの交わる場所、アジアの国々が共に発展し、東洋と西洋のカルチャーが出会う場所として、まさに文化が入ってきて交わり、発信していく「ハブ」化しようということです。

文化事業拠点が建造されると聞きましたが詳細を教えて下さい。

具体的にはドラマや映画、アニメといったコンテンツの開発・発信を一体的に行う文化事業の拠点施設であるとして光州に約120,000㎡の国立アジア文化殿堂と、13760㎡の文化産業コンプレックス(Global CGI Center)を建設中です。国立アジア文化殿堂は主に、文化交流、展示、講演などが促進される場となります。
全羅南道の道庁の所在地で、5月18日の光州にて民主化運動があったところです。現在は道庁は移転していますが、ここをリノベーションして建設します。2014年に開所予定で総工費530億円となっています。
また、CGIは、コンテンツのビジネスのメッカとして機能するよう国内外の共同製作、投資、特殊技術での撮影への対応など最新のハードを伴う、インフラの整備が行われます。2011年6月の開所予定で、約190億円が投下されます。文化殿堂とCGIセンターを取り囲むように特区が配置されます。

GITCTの文化中心都市造成事業への関わり方については?

GITCTでは、文化中心都市造成事業においてのCGIを中心としたプロジェクトの創成、文化中心都市造成事業においての「Creative Contents Investment Fund」を担当しています。ファンドは2011年に7億5000万円にてはじまり、2020年までの10年間で110億円に拡大するプロジェクトです。
文化中心都市造成事業により建設される、国立アジア文化殿堂とCGIを取り囲むように投資振興地区が作られ、地区内の中小企業に助成金を出し、CGIを中心としたクリエイティブ産業の振興が成されていきます。
投資振興地区に国外企業を誘致し、光州拠点の韓国企業と共同製作を促進したり、光州発のコンテンツを世界マーケットにディストリュートし、浸透させていく拠点として私たちもサポートしていきます。

産業として成立させるためには、アジア文化殿堂やCGIのような施設を作ればそれを利用する企業が必要であり、企業がプロジェクトを遂行するためには人が必要であり、作って完成したものをビジネスにするには流通しないとはじまりません。
一部分だけ支援するのではなく、資金、人材、マーケティング、流通など、多岐面に渡っての支援を行っています。コンテンツを流通させるために、当団体が海外の展示会に出展し、興味のある企業からの個別相談、商談に応じます。

GITCT SHOWCASE 2010

今回のACE FAIRでの新しい試みはありますか?

こういった見本市や展覧会にGITCTも何度かブース出展していますが、組織の概要や、事業の概要をまとめたチラシや説明書を配るだけでは、訴求力がない、興味をもってもらう確率は低いと認識しました。そこで、具体的コンテンツを見てもらう場所を作ることが大事というコンセプトに方向転換しました、本日最終日を迎えましたが、今回のACE FAIRでは海外のバイヤーや来場者とも具体的な話がしやすいですし、GITCTで支援したアニメーター、クリエーターの作品に触れる場所として活用されていると思います。今後もさらに何かが具体化するような、GITCT国際的な架け橋になるようなアクションをおこしていきたいです。

光州情報・文化産業振興院(Gwangju Information and Culture Industry Promotion agency:GITCT)Eun-Young,Kim(IT・CT Industry Department/Marketing Manager) インタビュー他の人材育成事業を教えて下さい。

また、人材育成の一環として、インターン事業を行っています。インターンとして学生を企業に採用してもらい、実際に就職が決まれば給与の60%を数カ月分支給する取り決めとなっています。
実際への採用につながりますし、補助がでるということで通常のインターンよりも企業もインターン参加者もより真摯に、積極的に取り組めるようです。

日本のコンテンツ業界についての印象は?

GITCTは日本のアニメ会社との共同製作もサポートしたことはありますが、日本は映画やアニメなどに新規参入がしにくい製作委員会方式をとるので、共同製作については韓国企業からは非常に入りにくい市場という評価があります。
また、コンテンツそのもの関しては、視覚からもやや派手さを求める欧米のものに比べ、企画力・ストーリーなどで勝負しているという感じがします。
中国については、日韓中の中で他国のコンテンツに関しての規制もありますし、自国の企業を優遇しているというイメージがあります。ひょっとしたらお互いが、互いの国に対しての課題や印象を抱いているのかもしれませんが。

光州情報・文化産業振興院(Gwangju Information and Culture Industry Promotion agency:GITCT)Eun-Young,Kim(IT・CT Industry Department/Marketing Manager) インタビュー市場開拓についてはどういう取り組みをされていますか?

GITCTの使命として光州発のコンテンツのマーケットを開拓し、流通支援をするというものがありますが、積極的にフランス・アヌシーやカナダの見本市や展示会での活動をしていった中、今年、フランスの2番目のクラスターであるIMAGINOVEとMOUをGITCTは結び、これはアニメを中心とするコンテンツの共同製作について協力していこうという方向のものです。「Cosi Moji」という3Dアニメーションでレストランを舞台に拡げられる6-8歳向けのシチュエーションコメディについては2011年に共同製作が予定され、フランス側からの70%の投資を取り付けています。これは、やはり、コンテンツショーケース、具体的なコンテンツを提示しての広報活動の成果です。
2010年12月に韓国・ソウルにて開催されるSIGRAPHにて、今回のACE FAIRのようなコンテンツショーケースを開催し、具体的な商談に結び付けたいと考えています。
また、SIGRAPHでは「アジア文化中心都市造成事業」の大々的な発表もされる予定です。これにより一層の国際共同製作、海外からの投資の呼び込みを促進するはずみになるかと思います。
また、GITCTのブースの特徴として、ブースの一角に子どもたちがアニメに関するゲームをしたり、体験をしたりというコーナーを設けています。
コンテンツのターゲットは子どもたちというのもありますし、子どもたちはコンテンツの未来に大きく関連もしています。何かを体験し、感じるというのは感性を磨くにあたってとても大事なことですし、ACEFAIRではそれに気づいてGITCT・多くの企業のブースが、閲覧・観覧型から体験型に変更しました。企業や大人相手にもいえることで、紙一枚、机上でアニメーション作品を説明するのではなく、視聴してもらってコンテンツに触れてもらっての広報活動、サポート活動になるかと思います。

光州情報・文化産業振興院(Gwangju Information and Culture Industry Promotion agency:GITCT)Eun-Young,Kim(IT・CT Industry Department/Marketing Manager) インタビュー今後の展望について教えて下さい。

元々福祉関係の仕事をしていて、人を助けることにやりがいがあったのですが、韓国がコンテンツ発信の事業に取り組む上で私も何かサポートをしたいと思い、この仕事に就きました。私たちが担当するのはほとんどが、5人から10人、多くて25人から40人という中小企業です。そういった企業が海外の企業から評価されるきっかけを作ったり、具体的ビジネスに結びつける手助けをしたり、ということがやっと形になってきており、その次はこういう支援していこうという励みにもなります。ひと口に支援といっても短期的なものでは、製作から流通につながっていくことは難しく、長期的な視点、支援が必要です。例えば、先ほどのフランスからの出資というようなことも段階を踏んだ適切な支援により、形になってきたと思いますので、1段階1段階のクリアを励みに、光州発のコンテンツが世界に流通するよう、光州が文化中心都市として発展していくよう、コンテンツの発信と光州の発展が相乗効果を生むように何かできればと思っています。

(取材・文 広報室 小林真名実)