世界108ヶ国・地域から1万4千人が来場した映像コンテンツの国際見本市「MIPCOM2016」。日本が初めて務めた「Country of Honour(主賓国)」の振返り
世界最大規模の映像コンテンツの国際見本市として知られる「MIPCOM」が今年も10月にフランス・カンヌで開催されました。今年は日本が「Country of Honour」に選ばれ、日本の映像コンテンツや番組フォーマット(※1)、さらには技術を広く世界に紹介。「Country of Honour」の運営に関わった3名にVIPO事務局長・市井がインタビューしました。
渡辺 圭史氏(Country of Honour運営事務局 プロデューサー/BEAJ 事務局次長)[略歴]
市井)今年は初めての「Country of Honour」となりましたが、これを機会にどのように活用しようと考えたのでしょうか。
渡辺)日本はモノ作りに命を懸けてきたので「SPIRIT OF IMAGINATION」という部分を強く伝えたい想いがありました。
今までは、主に子供向けのアニメやバラエティ番組のフォーマットが、日本コンテンツとして海外に受け入れられてきました。アジア市場にドラマも販売してきました。しかし日本には、さらに面白いドラマや大人向けのアニメもあります。これを知ってもらおうと、今回のコンセプト「SPIRIT OF IMAGINATION」を作るにあたり、「今の日本、これからの日本」を見せることに決めました。そこを今回は、積極的に出すことができ、いい反応が得られたと自負しています。
海外番販の現場の経験を踏まえ、「Country of Honour」の中身をクリエイティブに作っていきました。オープニングパーティは想定以上の集客で、外国の方々が盛り上がり、最後まで帰らなかったのが印象的でした。
◆OPENING PARTY
4千人近くが来場。日本食の代表「SUSHI」や日本人のDJによるパーティは大きな反響があった。
堀江)日本は海外展開の歴史が比較的長いこともあり、売り出すコンテンツのジャンルが豊富にありました。他国が「Country of Honour」を務めた際は、例えば「ドラマを打ち出す」などジャンルが限られる中、日本はドラマやバラエティ、アニメなどジャンルがいろいろあり、古いものも新しいものも、さらに技術も、と盛りだくさんでした。また、日本の文化を含め紹介出来たので、今までとは違ったものになったと思っています。
日本の番組制作者にとっては、国内で視聴率を稼ぐことがまず第一であり、会社全体においても、海外まで目を向けきれてない部分がまだまだありますが、今回の「Country of Honour」をきっかけに、海外に日本コンテンツを売り込む現場を、各社のエグゼクティブに体感してもらえたことは非常に意義のあることだったと思います。
宮澤)世界中でOTT(※2)の新しいチャンネルが出てきた良いタイミングだったと思います。実に、今回バイヤー登録した4,900人中の約3割がデジタル系のコンテンツ事業者だったと聞きました。コンテンツを集めて配信業者に売ろうとしているブローカーのような人、あるいは自身がプラットフォームを持っていて配信事業を始めた事業者などです。今回の「Country of Honour」をきっかけに、日本ブースへコンテンツを探しに来てくれた人もいました。
2016年10月17日~20日/フランス・カンヌ開催の「MIPCOM」は、世界108の国・地域より、14,000人(うち、バイヤーは4,900人)が来場し、日本人の参加は過去最多の500名以上。また、「Country of Honour(主賓国)」を日本が初めて務め、日本コンテンツを紹介するコンファレンスやパーティなどが開催され、延べ5,600人以上が参加した。