ハリウッド映画の興隆を支えた重要な要素は「ストーリー分析」です。
これは1980年代よりSyd Field、Linda Segerなどのメジャースタジオのストーリーアナリストを中心に開発が進められたものです。この手法によりシナリオ(screenplay)の欠陥を早期に発見し修正する仕組みを構築したことが、ハリウッド映画の国際競争力を上昇させた要因の一つとなったと言われています。
シナリオは舞台、映画、アニメーション、ゲーム、テレビ番組など、ストーリー性を持つエンターテインメントコンテンツの制作には欠かせない、いわば制作指示書であり、仕様書です。その分析・評価を的確に行わずに、作品を制作することは、シナリオの商品価値を見抜く経験知を持たない者にとっては、たいへんにリスクの高いものでした。今、シナリオの分析・評価を体系化、共有知化し、明確な判断をくだして国際競争力のある作品を制作したいという意識が高まっています。
このような流れを受け、東京工科大学では、Syd Field らのストーリー分析手法を進化発展させ、学問分野で研究が進められてきた「物語の構造分析」や、映像描写についての分析手法を加えた、「金子満メソッド」を作り出しました。
その斬新なコンセプトは、国内の学会ばかりでなく、南カリフォルニア大学シネマティックアーツ学部の研究者を始め、韓国、台湾の研究者たちからも注目を集めています。
今般、NPO法人映像産業振興機構(VIPO)では、この「金子満メソッド」を共有知化すべく「第2回シナリオアナリスト養成セミナー」を開催することといたしました。
主に理論を中心とした第1回セミナーの内容に加えて、現役脚本家のナマの制作ノウハウを加えた講義とし、受講者の方のシナリオ構造の知識に合わせたプレ・セミナーを実施することで、より密度の濃いセミナーといたしますので、前回受講された方でも、新しい知識を得ていただくことができます。
客観的視点に基づくシナリオの分析・評価能力の向上を目指す、業界最前線の皆様のご参加を、心よりお待ちしております。
フジテレビの制作部、映画部を経て、アメリカMGMスタジオで「ドクトルジバゴ」のデイヴィッドリーン、「拳銃無宿」のヴィンセントフェネリー組に配属、帰国後CGスタジオ「JCGL」を創立、アメリカでメトロライトスタジオを創設、「トータルリコール」の特殊効果(アカデミー特別視覚効果賞)やコンピュータ・アニメ制作システムを開発、帰国後、慶応義塾大学SFC教授を経て、現在、東京工科大学大学院情報メディア研究科教授、学術博士(東京工業大学)。
著書に『映像コンテンツの作り方』、『シナリオライティングの黄金則』など。
玩具と出版をつなぐデザイン会社でのキャラクター・ビジネス経験の後、作家・長谷川潤二(古谷信二)氏に師事し、フリーランスの編集・シナリオライターとなる。キャラクター設定・世界観設定を得意とし、書籍、ゲーム、アニメ、映画など多くのコンテンツ制作に携わる。シナリオ代表作:「SDガンダムフォース(TVアニメ)」/「土器王紀(ゲーム)」。また、ゲームには多くの匿名リライト作がある。
開催期間 | 2010年9月30日~11月18日 毎週木曜日(一部隔週)の18:00~20:00に開催 |
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会場 | 文京学院大学 本郷キャンパス 〒113-8668 東京都文京区向丘1-19-1 TEL:(03)3814-1661(代表) 東京メトロ南北線「東大前」駅下車 (2番出口)徒歩0分 都営三田線「白山」駅下車 (A2出口)徒歩10分 東京メトロ千代田線「根津」駅下車 (1番出口)徒歩10分 |
受講対象者 | コンテンツ業界の現場で活躍し、シナリオの分析・評価能力の向上を目指す業界人(定員:20名) |
受講料 | 一般:60,000円 VIPO会員企業・団体 ※30,000円 ◆受講料には、毎回のテキスト代+金子教授の著作『シナリオライティングの黄金則』も含みます。 |
お申し込み | セミナーお申し込みフォームより、必要事項を入力し、送信ボタン上部のセミナー選択にて「第2回シナリオアナリスト養成セミナー」を選択し、お申し込みください。 セミナーお申し込みフォーム |
お問い合わせ | 東京都中央区築地4-1-1東劇ビル8F NPO法人映像産業振興機構 人材育成基盤セミナー事務局 宮内・南 電話:03-3543-7531 FAX:03-3543-7533 Email:t.minami@vipo.or.jp |
※1:NPO法人映像産業振興機構の会員企業・団体、および会員団体の加盟各社に所属する方。
講義回 | 講義内容 |
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9/30 17:00~ | プレ・セミナーⅠ シナリオの書き方/基礎フォーマット |
9/30 18:30~ | プレ・セミナーⅡ ハリウッド脚本術/構造論基礎 |
第1回(10/7) | 構造論Ⅰ:商業価値を根底に据えて オリエンテーション プロット作成~ターゲット指向~ |
第2回(10/14) | 構造論Ⅱ:ハリウッド脚本術を超えて ストーリー構成 13フェィズ/ポイント/ドラマカーブ 登場人物の調整(キャラクターメーク) |
第3回(10/21) | 構造論Ⅲ:描写と作家性 ミザンセーヌ リマインダー ドラマ展開をリマインダーによって面白くする |
第4回(11/4) | 分析Ⅰ:構造分析 ストーリー/設定 構成/ポイント/リマインダー |
第5回(11/11) | 分析Ⅱ:内容分析 理解度、感情移入度、満足度からの評価 シーン分析によるドラマカーブ分析 特色化分析(表現方法による必要性) |
第6回(11/18) | 分析Ⅲ:総合分析 構造分析・内容分析を踏まえた総合分析 |
課題未提出社・再提出者へのフォーローアップ
※プログラム内容は予告なく変更する可能性がございますが、ご了承下さい。