VIPO(ヴィーポ)、国立映画アーカイブ(NFAJ)、京都府京都文化博物館が主催する「公開70周年記念 映画『羅生門』展」がNFAJにて 2020年12月6日(日)まで開催されています。
明日10月15日(木)には、展覧会の公式図録が発売されます。商業出版物となりますので、お近くの書店やECサイトでのお買い求めも可能です。
今回展示されている資料の中には、東映京都撮影所の倉庫から掘り起こした貴重な資料も含まれ、それらも図録に収録されております。会場まで足を運べないお客様は、図録にて本展覧会の一端をぜひご覧ください。
1本の映画を多角的に分析・検証し、展覧会を開催するのはNFAJとしては初の試みです。また今回の展示にあたっては、コロナ禍に対応した非接触型のデジタル展示システム(IT-One Quest*)を採用。多くのノンフィルム資料**をデジタル化し、ディスプレイには手書きのメモが残された三者の撮影台本とそのシーンが表示され、比較できるようになっています。
*デジタルコンテンツの比較研究のためのプラットフォームソリューション
**脚本、ポスター、スチル等の非フィルム系映画関係資料
映画『羅生門』は、芥川龍之介の短編小説『藪の中』をもとに、当時、デビュー前だった橋本忍(1918〜2018)により脚本化されました。複数の人物が異なる供述をする手法は多くの映画で採用された脚本術のひとつで、心理学等の分野では“Rashomon effect”として海外ではよく知られています。
劇場公開は1950年8月26日。国内では大ヒットにはならなかったものの、1951年9月10日、「ヴェネチア国際映画祭」で金獅子賞を受賞しました。この受賞により、黒澤明が世界で発見されたと言えるかもしれません。
巨大な羅生門のオープンセット、太陽光を劇的に捉えたシーンやレフ版代わりに鏡を使った撮影技法、時代劇とボレロ調の曲の組み合わせなど、さまざまな点で先駆的表現を使った黒澤明の『羅生門』は、世界中を驚嘆させ、数多くの映画関係者を魅了し多大な影響を与えています。
展示は、第1章から第7章に分かれ、企画から撮影、宣伝・公開、世界展開にいたるまでの過程を、関係者のインタビューや数多くの資料などを通し、黒澤明監督、黒澤を支えた製作陣、制作スタッフ、俳優、映画祭関係者、それぞれの側面から読み解いていきます。ノンフィルム資料**の中には、今回の展覧会ために東映京都撮影所の倉庫から掘り起こした貴重な資料も含まれます。また、10月20日(火)からは、日本映画・テレビ 美術監督協会の協力により、「羅生門」の1/10の復元模型(幅約3m×高さ約2m×奥行約2m)の展示も予定されています。
**脚本、ポスター、スチル等の非フィルム系映画関係資料
第1章 企画と脚本
第2章 美術
第3章 撮影と録音
第4章 音楽
第5章 演技
第6章 宣伝と公開
第7章 評価と世界への影響
特別コーナー:旅する羅生門
期間中には、上映企画「生誕100年 映画俳優 三船敏郎」において『羅生門』の上映も行われます(前売指定席券は完売)。この機会にぜひ、70年を経た今でも色褪せない『羅生門』の魅力を存分に味わっていただきたいと思います。
なお、2021年2月6日(土)~3月14日(日)には、会場を京都府京都文化博物館に移し巡回展を開催いたします。
展覧会名 | 公開70周年記念 映画『羅生門』展 / Rashomon at the 70th Anniversary |
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主 催 | 国立映画アーカイブ、京都府京都文化博物館、映像産業振興機構 |
協 力 | 文化庁、株式会社KADOKAWA、株式会社アイ・ティー・ワン |
会 期 | 2020年9月12日(土)〜12月6日(日) |
休室日 | 月曜日 |
開室時間 | 11:00〜18:30(入室は18:00まで) |
料 金 | 一般250円/大学生130円/シニア・高校生以下および18歳未満、障害者(付添者は原則1名まで)、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料 ※11月3日(火・祝)「文化の日」は無料でご覧いただけます。 |
新型コロナウィルス 感染症対策について |
詳細は、国立映画アーカイブサイトホームページをご確認ください。 |
巡回先 | 京都府京都文化博物館 2021年2月6日(土)〜3月14日(日) |
HP | https://www.nfaj.go.jp/exhibition/rashomon2020/ |
国立映画アーカイブ 050-5541-8600(ハローダイヤル)