VIPO(ヴィーポ)が受託している令和4年度文化庁事業「日本映画の海外展開強化事業」の一環として、文化庁(Agency for Cultural Affairs, Government of Japan)は、ACA Cinema Projectシリーズ第6弾「New Films from Japan」をニューヨークにて開催いたしました。今回の上映は、2022年9月にロサンゼルス・ハリウッドで実施した業界向け日本映画上映「Emerging Japanese Films」、同年11月にニューヨークのジャパン・ソサエティとの共催で実施した「THE FEMALE GAZE ~女性映画人の視点~ WOMEN FILMMAKERS FROM JAPAN CUTS AND BEYOND」に続く、今年度のACA Cinema Project最後の上映です。
2月10日から16日までの1週間限定で上映された5作品は、ニューヨークの映画・文化愛好家に幅広く受け入れられ
『やまぶき』山﨑樹一郎監督には、上映後のQ&Aとニューヨーク大学(NYU)で開催した特別イベント「スペシャル・トーク・セッション」に現地でご登壇いただきました。両イベントには多くの方が参加され大変好評を博しました。Q&Aセッションの様子を一部抜粋してご紹介いたします。
上映後のQ&Aセッション |
山﨑監督 |
NYUでのトークセッション |
Q: 今回の映画は全編16ミリフィルムを使って制作していますが、なぜそれを選択したのですか?
山﨑樹一郎監督(以下、山﨑): 率直に言うと「憧れ」です。これまで自分が衝撃を受けた作品はどれもフィルム撮影だったのです。小川紳介、土本典昭、フレデリック・ワイズマンなどのドキュメンタリー監督に大きな影響を受けてきました。
Q: 複雑なストーリーが絡みあう映画ですが、特に演出に苦労したシーンはありますか?
山﨑: 途中パンデミックでの中断も含めてこの映画の制作には5年かかりました。どのシーンも苦労したと言えます。1秒間24フレームのたった一つのフレームを変えるだけでそのシーンの雰囲気も表情も変わるので、何百回と見直して編集し直したりしました。主人公の一人であるやまぶきはセリフが少なく表情で語るキャラクターなので、交差点のシーンなどは特に苦労しました。
Q: 今回ACA Cinema Projectシリーズのラインアップの1作品としてNYで上映されることをどう思いますか?
山﨑:5作品の中には自分もすでに見ている作品もいくつかありますが、日本独特の個性豊かな作品が集まっていると思いました。自分の作品はアメリカ初上映だったのでNYでの反応は気になっていましたが、他の作品の反応もとても気になります。日本で『やまぶき』を上映すると、みんな静かに観ますが、今回上映中にこんなに笑ってもらったのは新鮮でした。
◉期 間:2023年2月10日(金)~16日(木)
◉会 場:IFC center (323 Sixth Ave – at West 3rd St)
◉ゲスト:山﨑樹一郎監督(『やまぶき』Q&A) *2月10日(金)19時上映後、11日(土)16時上映後
◉モデレーター:2/10 John Wildman(Wildworks PR)、2/11 角田拓也氏(コロンビア大学東アジア言語・文化学部助教授)
◉上映作品 (詳細:https://www.ifccenter.com/series/aca-cinema-project-2023/)
『ある男』(米国東海岸初上映)2022/121分/日本 ©️2022『ある男』製作委員会
監督・編集:石川 慶/キャスト:妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝
『ケイコ 目を澄ませて』2022/99分/日本 ©2022映画「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINÉMAS
監督・脚本:三宅 唱/キャスト:岸井ゆきの、三浦友和
『土を喰らう十二ヵ月』(米国東海岸初上映)2022/111分/日本 ©2022『土を喰らう十二ヵ月』製作委員会
監督・脚本:中江裕司/キャスト:沢田研二、松たか子
『千夜、一夜』(米国初上映)2022/126分/日本 ©️2022映画「千夜、一夜」製作委員会
監督・編集:久保田 直/キャスト:田中裕子、尾野真千子
『やまぶき』(米国初上映)2022/97分/日本・フランス ©2022 FILM UNION MANIWA SURVIVANCE
監督・脚本:山﨑樹一郎/キャスト:カン・ユンス、祷キララ
◉日時:2023年2月9日(木)
◉会場: ニューヨーク大学構内セミナールーム
◉ゲスト:山﨑樹一郎監督(『やまぶき』)
◉モデレーター:トーマス・ルーサー准教授(ニューヨーク大学東アジア研究学科長)
海外における日本映画の上映機会の創出と海外展開を促進する目的で開催される文化庁委託事業「日本映画の海外展開強化事業」の日本映画上映プロジェクト。上映だけでなくシンポジウム等も併せて実施し、海外における日本映画や製作者の知名度の向上を図ります。今回は映画文化の一大拠点であるアメリカでの上映会を企画・実施し、幅広い日本映画を紹介いたします。
第1弾: 21st CENTURY JAPAN: Films from 2001-2020
https://film.japansociety.org/page/21-st-century-japan-films-from-2001-2020/
第2弾: Flash Forward: Debut Works and Recent Films by Notable Japanese Directors
https://film.japansociety.org/page/flash-forward-debut-works-and-recent-films-by-notable-japanese-directors/
第3弾: New Films from Japan
https://www.ifccenter.com/series/aca-japan-2022/
第4弾: Emerging Japanese Film
https://www.aca-cinema-japan.com/
第5弾: The Female Gaze: Women Filmmakers from JAPAN CUTS and Beyond
https://www.vipo.or.jp/en/event/1169/
日本映画の海外展開を強化するため、欧米の映画先進国において日本映画の上映を実施するほか、日本の映画人材の技能向上及び海外進出促進を目的に、映画関係者等と連携して効果的な短期実践研修を実施する事業です。
>令和3年度実績報告 https://www.vipo.or.jp/news/29289/
【主 催】文化庁
【事務局】特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)
特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)
「日本映画の海外展開強化事業」事務局
e-mail: aca_cinema_project@vipo.or.jp