令和6年度アーカイブ中核拠点形成モデル事業
「全国映画資料アーカイブサミット2025」
アーカイブ動画(YouTube)を公開中
国立映画アーカイブ「令和6年度アーカイブ中核拠点形成モデル事業」の一環として、2025年1月24日(金)にオンラインにて「全国映画資料アーカイブサミット2025」を開催いたしました。開催当日の録画映像を編集した動画を、本事業YouTubeチャンネルにて公開いたしましたので、ぜひご覧ください。
6回目の開催となる今回のサミットでは、望ましい映画資料アーカイブの構築に向けてさらに議論を深めるべく、デジタルアーカイブにおける著作権についてのセミナー、映画分野の展覧会キュレーション、特撮資料アーカイブについてのセミナーに関する発表など多様なプログラムを実施いたしました。
開催概要
日 時:2025年1月24日(金)13:00~17:35
場 所:Zoomを用いたライブ配信(主会場VIPO会議室)
参加者:218名
参加費:無料
構 成:第1部報告、第2部報告、第3部セミナー、第4部報告、第5部セミナー、第6部セミナー
動画公開:2025年4月18日~2026年3月末(予定)
プログラム詳細
第1部:報告
令和6年度アーカイブ中核拠点形成モデル事業の実施概要について(約7分)
【登壇者】事務局/佐藤 友則
事務局から令和6年度事業の概要(調査、展示、デジタルアーカイブの作成、映画資料所在地情報検索システム[JFROL]の新規連携)について説明しました。
第2部:報告
映画資料ポータルサイト「映画遺産」について(約15分)

【登壇者】宮本法明(国立映画アーカイブ研究員)/佐藤いつみ(国立映画アーカイブ研究補佐員)
国立映画アーカイブで令和5年度より運用している映画資料ポータルサイト「映画遺産―国立映画アーカイブ映画資料ポータル―」について発表した。まず同サイトの概要に始まり、検索機能(簡易検索・詳細検索・連想検索)、画像ビューアーの搭載について説明しました。次に第一弾の公開資料「技術資料」、第二弾として令和6年度に新たに追加された「映画館プログラム」のそれぞれの資料の特徴やメタデータ作成において生じた困難とその対処等について発表しました。最後にサイト自体の今後の課題や展望について発表しました。
第3部:セミナー
デジタルアーカイブ構築における著作権について(約56分)

【講師】五常総合法律事務所 パートナー弁護士 数藤雅彦
映画資料のデジタルアーカイブ構築において留意すべき著作権等について、映画関係の事例にも詳しい数藤弁護士に講義していただいた。権利処理の総論において、著作権及び著作者人格権、展示と配信の違い、デジタルアーカイブに関する主な権利制限規定等について解説していただきました。次に、種別ごとの例として、脚本、美術図面、絵コンテ(以上、製作資料)、スチル写真、ポスター(以上、宣伝材料)について、各資料の特徴、権利者、権利保護期間、公表/非公表、その他の注意点といったポイントについて解説していただいきました。最後に視聴者からの質疑応答も実施しました。
第4部:報告
映画資料展―2023-24年現地報告(約54分)

1.特別展「映画のレシピ」(香川県立ミュージアム)
【登壇者】黛 友明(同館 専門学芸員)

2.Afternote 山口市 映画館の歴史(山口情報芸術センター[YCAM])
【登壇者】前原美織(同センター シネマキュレーター)

3.世田谷文学館コレクション展「衣裳は語る──映画衣裳デザイナー・柳生悦子の仕事」(世田谷文学館)
【登壇者】瀬川ゆき(同館 学芸員)
2023-24年に開催された全国の映画資料展の中から、香川県の地域の歴史と映画史をめぐる展示、山口市の映画館の記録と記憶にまつわる展示、デジタル展示を活用した衣裳デザイン画展について、各担当者からそれぞれどのように展示準備を進めて内容を構成したかというキュレーションにまつわるお話や、展示内容の解説をしていただきました。一例としては、特別展「映画のレシピ」では、香川県初の映画上映や常設映画館、県内の配給の歴史等についてリサーチを元にした展示構成、「Afternote 山口市 映画館の歴史」では、山口市内の資料の調査や200名を超える関係者らのインタビューを敢行して制作された映像作品「Afternote」と共に資料が展示されるユニークな展示構成、世田谷文学館コレクション展「衣裳は語る──映画衣裳デザイナー・柳生悦子の仕事」では、柳生悦子の各作品の衣裳デザインによる演出意図やデザイン画について、それぞれご報告いただきました。
第5部:セミナー
「須賀川特撮アーカイブセンター」と特撮資料の保存(約32分)

【講師】三好 寛(特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構[ATAC] 事務局長)
特撮資料の調査、収集、保存、研究にいたるまで、各製作会社や行政と折衝しながらアーカイブ活動を推進していくATAC の事務局長に、特撮資料(ミニチュアや図面など、特撮映像を制作する際に必要となるあらゆるもの=中間制作物)のアーカイブの経緯とその重要性(研究のためのエビデンス、美術的価値、創作へのヒント等)について解説していただきました。次に須賀川特撮アーカイブセンターの施設の特徴や所蔵資料、同館で実施している上映やワークショップの活動について解説、さらに文化庁メディア芸術アーカイブ推進支援事業による取り組みや資料の展覧会出品事例についてもお話しいただき、特撮資料のアーカイブにまつわる事例共有をしていただきました。
第6部:セミナー
映画資料アーカイブの重要性について(約32分)

【講師】岡田 秀則(国立映画アーカイブ主任研究員)
7年目の本事業において、資料館や映画会社の担当者の入れ代わりによる人的問題や、配信の台頭による映画環境の大きな変化を受けて、いまいちど映画資料アーカイブの意義を確認して推進するために、「再入門!映画資料ABC」と題するセミナーを実施しました。映画作品の完成までの過程では様々な製作資料(脚本、美術・衣裳デッサン、機材、小道具等)があり、映画作品の完成後は様々な宣伝材料(スチル写真、ポスター、プレスシート等)や映写機等の上映機材、記念品、興行資料等があり、また映画をめぐっては、書籍、雑誌、パンフレット等があります。これらの映画資料の特徴やアーカイブの意義、映画資料の大切さについて解説しました。さらに海外の映画資料アーカイブの事例を紹介し、日本映画資料の保存状況、映画資料の活用や今後の課題等についても解説しました。
お問い合わせ先
特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)
アーカイブ中核拠点形成モデル事業事務局
E-mail: nonfilm.archive@vipo.or.jp
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