株式会社ハコスコ
先進コンテンツ技術による地域活性化促進事業 支援事例
株式会社ハコスコドローン3次元計測+実写による文化遺産インタラクティブVRと観光誘致のパッケージ制作
文化遺産を制作・配信品質のコストバランスに配慮したデジタルアーカイブ化し、観光客誘致や教育へ利用可能なパッケージ化の準備を行う。本年度は、ショーケース事例として世界遺産候補になっている長崎の教会群を対象としてインタラクティブなVRコンテンツを制作した。この制作・配信パッケージは他地方でも応用可能であり、今後国内各地の高品質、低価格のVRコンテンツをデジタルアーカイブとして蓄積し、観光、教育など多目的に利用したい。
今回のコンテンツ制作について
特に気を遣っている点
教会は信者にとっては特別な場所であるため教会管理者と綿密な調整を行って撮影計画を立てた。写真による3Dモデリングはドローン撮影データを中心に行った。樹木などがありドローンが利用できない場所では長尺棒にカメラを取り付けて撮影するなどの工夫を行った。教会は象徴的な建物であるため高精度な3Dモデルを製作する必要がある。よって、通常の撮影よりより画像撮影に時間をかけた。
最も苦労した点
一般に教会内部の撮影は禁じられている。また中に入ることも難しいことが多い。そのような中で関係者の皆様に我々のプロジェクトを理解していただき撮影許可を取ることに一番苦労した。教会内部の360度撮影では照明は使用できず、観光客がいる場合はいなくなるまで撮影は待った。その苦労の甲斐あって、今回の撮影コンテンツでは現地に行っても体験できないコンテンツを誰でもどこでも体験できる貴重な資料となった。
また、今回撮影された黒島教会はこれから数年間耐震工事に入るため、現状を見ることができる最後の機会であった。数年間は現地を訪れても教会建築を見ることはできないことから、貴重な機会を得られたと感じている。
新たな技術や技法
教会外部の記録は複数の写真から3Dオブジェクトを高精度に復元する「フォトグラメトリー」技術を活用している。教会内部は実写映像だけにし、360度カメラはプロフェッショナル仕様のInsta360 Proを使用。静止画/動画ともに最大8K3D(7680×7680)の高解像度で撮影。
また、ハコスコ社のVRプラットフォームを使用することで、ユーザーが直感的かつ簡易にコンテンツを楽しむことができるようにした。
コスト削減に効果的な独自の手法
地域おこし協力隊など、長崎在住のスタッフの参加によって、コーディネーター費等のコスト削減に寄与した。
ユーザーターゲット・年齢制限
幅広い年齢層に楽しんでもらえるように作っている。年齢制限は設けていない。
映像酔いを防止する工夫
VRツアーは静止画を中心として作成し、動画部分はCGから作ったため、映像のブレなどは起きない。スマホでの再生は30fpsが上限のため、CG作成時にはカメラの移動をゆっくり動かすことで映像の揺れを防止し、酔いを起こさないようにした。
没入感・リアリティ・臨場感を高めるための取り組み
コンテンツは全て360度「3D」で制作しており、「2D」と較べて圧倒的な没入感を体験できる。
また、実写映像はさまざまな露出での撮影を行い、ダイナミックレンジの広い画質(HDR)にすることで臨場感を高めている。また、実写撮影の360度カメラの高さを目の高さに合わせたため、自然に身体を動かして、空間上を歩いたり動き回ったりしたくなる。
地域振興のための注力点
撮影場所は観光客が足を運びにくい離島を中心とした。今回、制作する映像を世界中に配信して離島の魅力を伝えて観光客に足を運んでもらいと考えている。
実施事業者からのコメント
本事業で行ったフォトグラメトリーによる3DCGと高品位360度3D映像は非常に相性がよく、今後両者の融合が高品位体験コンテンツの中心になっていくと考えられます。今回制作したプロトタイプコンテンツは、従来の手法と比較しても高い没入感を比較的安価に提供できることが実証できたため、今後のVRプロモーションでのユースケースが増えると思います。