VIPO

インタビュー

2024.04.08


創立100周年にむけた「TOHO VISION 2032」とは ~Entertainment for YOU世界中のお客様に感動を~ (2023年11月実施 VIPOアカデミー「コーポレートリーダーコース」経営者講演より再構成)

〈前編〉「VIPOアカデミー」経営者講演
〈後編〉松岡社長に聞く!(受講者からの質問コーナー)

 

会社創立90周年という節目の2022年に社長就任された松岡宏泰氏。3年におよんだコロナ禍は映画業界に大きな打撃を与えました。そんな中、アニメ事業を東宝の事業の柱の一つとして独立させIPビジネスのグローバル展開を強化する東宝は昨年、創立100周年にむけた「TOHO VISION 2032」を発表しました。「Entertainment for YOU」 をあらたなコーポレートスローガンとした東宝が目指す、経営戦略についてお話を伺いました。
(本記事はVIPOアカデミー「コーポレートリーダーコース」にて行われた経営者講演をまとめたものです)

 
 

< 目 次 >

 
〈前編〉「VIPOアカデミー」経営者講演
 

VIPO専務理事・事務局長 市井三衛との縁
松岡氏 経歴
入社したものの倒産寸前-東宝東和再生の舞台裏
異例の経歴で注目-失敗からの挑戦。東宝の新たな海外戦略
 

東宝のルーツについて
映画、演劇、不動産、アニメ―四つのセグメントと経営基盤
 映画製作としては後発の東宝がとった決断と不動産事業
東宝グループの映画事業と注目の製作作品
アニメ事業の発展と海外展開への挑戦
 

「企画&IP」が成長戦略のキーポイント
デジタル分野での積極的なM&Aと国際的なビジネス拡大
『千と千尋の神隠し』イギリス公演に見る海外市場の可能性
 

 
 
 
 

〈前編〉「VIPOアカデミー」経営者講演

 

松岡氏自己紹介と東宝入社まで

VIPO専務理事・事務局長 市井三衛との縁
 
東宝株式会社 代表取締役社長 松岡宏泰(以下、松岡)  前段として、市井さんとの関係をお話させてください。僕は日本の大学を卒業後、アメリカの大学で2年、その後、ピッツバーグ大学経営大学院に進んだのですが、市井さんはそこの同期でもありテニス仲間なんです。僕は仕事経験もないまま、無理やり大学院に進んだので、とにかくなんとか早く卒業することばかり考えていたんですが(笑)、市井さんはお仕事の経験はもちろん勉強もしっかりされていて、立ち振る舞いもきちんとされていたので、頼れるお兄さんとして、当時のニックネームのサムさん、サムさんって市井さんの後ろをくっついて歩いていたという関係なんです。
 
VIPO専務理事・事務局長 市井三衛(以下、市井)  ちなみに私は、松岡さんをヒロさんと呼んでいました。大学院で友人がテニスクラブを作ったので、参加しないかと声をかけてくれて、日本人で参加したのがヒロさんと私でした。卒業間近に市が主催する団体トーナメントに出場して、優勝したことを思い出しますね。ヒロさんは、何故か(?)クラスメート(特に女性)に人気がありましたね。
 
松岡  そして、いまこんな形でお仕事をご一緒させていただいておりますが、そんな方から今日のような機会をお願いされたら、イヤだとはいえないですよね(笑)
というわけで今日はよろしくお願いいたします。
 

松岡氏 経歴
 
最初に私の経歴ですが、私の父親も映画会社に勤めていて、60年代はイタリアの映画がすごく人気でして、父が会社からイタリアに派遣されて3年ほど住んでいるときに私が生まれたので、ローマ出身ということになっています。慶應義塾大学の法学部を卒業する頃は、ちょうどバブルのど真ん中でした。就職がとてもしやすかった時期でしたので、このまま就職するのはどうかと思い、子どもの頃から一度は留学したかったこともあり、アメリカのフィラデルフィア郊外にあるオルブライト大学に留学しました。そこで2年勉強したのちに、ピッツバーグ大学に行きました。
 
大学在学中に知り合いに紹介してもらって、20世紀フォックスの国際部でインターンをしていました。そこで一夏過ごして、映画業界に惹かれるようになり、大学院を修了時にタレントエージェンシー、インターナショナル・クリエーティブ・マネージメント(ICM)に入社しました。今もそうですが、当時からものすごい力を持っている会社でした。メールボーイからスタートして、徐々にポジションが上がり、ジュニアエージェントまで約2年勤務しました。その次のランクに上がるとおそらく数年は頑張ってしまい30歳を超えてしまう、日本に帰るタイミングを逸してしまうと思い帰国して東宝東和に入社しました。
 

入社したものの倒産寸前-東宝東和再生の舞台裏
 
東宝東和は、今は東宝の100パーセント子会社ですが、当時は東宝が70パーセント、創始者家族が30パーセントを持っていました。入ってみたら倒産寸前で、累積赤字がすごくあってびっくりしました。買い付けしたものの公開していない塩漬け作品もたくさんあって、本当にこの会社はまずいなと思いました。そこで親会社の東宝が支援し、数十億円の借金を整理。当時の経営陣の社長以外は全員、引責といいますか、違うことをしてくださいとなりました。私は31才で、買い付け担当の上司がいなくなってしまいまして、どうしたものかと毎日苦労しましたが、だんだんとユニバーサルやパラマウントの配給権を手掛けるようになり、今は比較的安定した会社になっていると思います。入社したときは本当に大変でした。
 

異例の経歴で注目-失敗からの挑戦。東宝の新たな海外戦略
 
私が東宝に入社するきっかけは、2014年に当時の社長で現在会長である島谷さんからの連絡でした。彼から東宝が海外展開に苦戦しているという話がありました。なぜなら50~60年代にかけて、東宝は積極的に海外展開をして、20国以上に事務所を開設。ロサンゼルス、ハワイ、南米など4、5カ所に映画館を所有しました。
 
それで、日本の映画を輸出していく計画を進めたんですが大失敗しまして。撤退後、海外はこりごりだという雰囲気が会社にできてしまいまして…それ以降は、海外進出については慎重にというムードで攻めの経営より守りを固め、難しい冒険を避け、リスクを取らないという方針を採用していました。しかし、変化する時代の中で、挑戦し、積極的に海外事業をけん引する人材が不足している課題が残りました。
 
そのタイミングで私が以前、東宝東和で外国映画を担当していて、日本のカウンターパートが存在しない領域で活動していた経験を買われて、東宝で海外担当のポジションに就くことになりました。通常、東宝はプロパーの人が出世していく傾向がありますが、そんなことから私は異例の経歴で入社して、海外担当としてだけでなく、映画営業や、企画調整や製作などに携わりました。2022年に島谷さんから社長に抜擢され、現在に至っています。
 

阪急阪神東宝グループが受け継ぐビジネスモデル

東宝のルーツについて
 
阪急阪神東宝グループは、阪急と阪神、東宝とは非常に近い関係にあります。阪急を設立した小林一三さんは、阪急電鉄が大阪と神戸を結ぶ鉄道敷設権を得ました。当時は既に国鉄(現JR、当時は鉄道省の省線)、阪神電鉄もあったので、阪急は三番目として一番遠く難しい所に線を敷くということです。その場所はまさに誰もいない場所で土地が安かったので、線路の周りの土地を全部買い、そこを分譲住宅にしました。
 
当時、中産階級の方たちが一戸建ての分譲住宅を初めて購入する時代でローンを初めて組む機会でもありました。駅がすぐ近くにあり、阪急電鉄の近くに住宅を購入するよう促すことで、顧客を創成したのですね。その人たちが電車の利用客となり、お客様に楽しんでもらおうと始めたのが宝塚歌劇団。さらにその人たちに買い物してもらうために阪急百貨店が建設されました。
 
宝塚歌劇団が関西で成功を収めると、東京進出が決まり、映画業界も隆盛を迎えました。いくつかの映画会社を買って、それと東京宝塚劇場を組み合わせ、名前を縮めて「東宝」という会社になったわけです。ですから、当社のルーツは宝塚劇場歌劇団に始まり、さらに上には阪急電鉄があります。91年前に小林一三が考えて築きあげたビジネスモデルとは、今でも我々が受け継ぎ、ビジョンやパーパスなどの姿勢はほとんど変わってないといえるでしょう。それを現代風にアレンジしているだけだと認識しています。
 

 

映画、演劇、不動産、アニメ―四つのセグメントと経営基盤
 映画製作としては後発の東宝がとった決断と不動産事業
 
我々の経営理念としての「健全な娯楽を広く大衆に提供すること」は小林一三が自分の本やスピーチで実際に言った言葉なのです。また、我々のモットーである「朗らかに、清く正しく美しく」は、宝塚歌劇団のモットー「清く、正しく、美しく」のあたまに「朗らかに~」が付け加えられていて、実はこれも小林がつけたものなのです。こういった理念は91年前と何もかわってなくて、今でも通用する普遍的な考えであり、そのことを今も共有しながら私たちがやっていけていることに感謝しています。
 
当社は、映画、演劇、不動産、アニメの四つのセグメントで事業展開しています。我々の起源は東京宝塚劇場にあり、演劇と映画が当社のスタートです。しかし、なぜ不動産なのかという疑問が生じるかもしれません。映画業界において、我々は松竹や角川の全身である大映、日活よりも後発であり、当初は製作能力も高くありませんでした。そこで小林一三は我々が単独で製作だけで他社に勝つことは難しいと考え、興行、映画館に注力しようと決断しました。この考え方は当時としては異例でした。当時は地元の名士がいい場所に映画館を建て、そこの興行を仕切るのが一般的なビジネスモデルです。それに対して、全国の一等地に100館の東宝の映画館を造ると宣言して、東京、名古屋、大阪、福岡、札幌、その他も着々と展開していきました。そうした経緯で多くの映画館が我々のアセットとして残ったわけです。
 
1960年代に入るとテレビが普及し、それにより映画館の客足が減少し、映画館が急激に閉館に追い込まれました。テレビの普及前は動く映像は映画館でしか見ることができませんでしたので、ピーク時では11億人以上が映画を楽しんでいましたが、1970年代になると2億人を下回りました。この時期に映画館を商業ビルに変えていきまして、東宝は生き延びることができ、その結果、現在の不動産事業の基盤を築くことになりました。そのため当社の不動産は非常に強いとされています。
 

東宝グループの映画事業と注目の製作作品
 
アニメ事業は2022年までは映画部門の一部だったのですが、ここ数年でアニメビジネスが急速に伸びてきたので、アニメ事業を4つ目の柱として、切り分けました。当社の利益割合は映画が6割、不動産で3割、残りの1割が演劇その他です。営業利益率を20パーセントとして、2022年の目標数字が大体500億ぐらい。コロナの影響もあって到達はできていないのですが、2023年時の業績予測の営業利益が500億なので、ようやく目指しているところに戻りつつあるかなと思っています。実は営業収入の業績予測ペースでいくと、過去最高なのですが、経費その他があがっているので、その分利益率が下がって、18パーセントぐらいかなと思います。
 
映画事業は当社の各事業分野でも最も重要なポジションを占めており、事業の中でTOHOシネマズが30パーセント近いシェアを有しています。映画配給においては、東宝と東宝東和の両方を合わせて、年によって変動はありますが、東宝グループのマーケットシェアは大体40から50パーセントに達しています。
 
製作については、年によって製作本数が変わるため、具体的なシェアは把握していませんが、今年の製作委員会の中で注目すべき作品として『怪物』が挙げられます。これは是枝監督と坂元裕二脚本家によるオリジナル作品で、カンヌでの受賞も果たし、興行収入は21.5億円にまで達し、非常にいいビジネスができたと思っています。
 
現在公開中(2023年11月時)の『ゴジラ-1.0』*は興行収入が50億を超えました。アメリカ、北米でも配給をすることになっています。実は今回、初めて自分たちで配給することにしました。今までは他のアメリカの会社に渡していたのですが、自社配給で、初めて東宝ブランドで海外配給します。これまでアメリカのストライキの影響もあって映画の公開予定がだいぶずれこんでいたのですが、全米で2000スクリーンくらい上映できていると思います。
 
12月にはアニメ『SPY×FAMILY』の製作委員会の幹事を務めています。
 
直近の作品についてお話しましたが、東宝全体では年間で28本程配給しています。その他にもODSといわれる音楽ものや、企画ものの作品が年間十数本。ほかに東宝東和やパラマウントを扱う東和ピクチャーズがだいだい15本くらい映画事業でまわしています。
 

*『ゴジラ-1.0』
第47回 日本アカデミー賞 最優秀作品賞 、第96回 アカデミー賞 視覚効果賞を受賞。米アカデミー賞においては、邦画・アジア映画史上初の視覚効果賞の受賞です。

 

 

アニメ事業の発展と海外展開への挑戦
 
約11年前に、当社はアニメ事業に着手し、TOHO animationというブランドを立ち上げました。最初は順調に進まなかった時期もありました。当時、アニメ市場はまだ大きくなっておらず、数年間は苦しんでいたと思います。しかし、『僕のヒーローアカデミア』が登場し、初めて『週刊少年ジャンプ』の企画を手がけ、テレビシリーズに展開されました。その頃、当時海外担当の私のもとに、海外の配信系の会社が日々交渉に訪れるようになりました。彼らは必死で『ヒロアカ』を手に入れたがっていました。検討中にもかかわらず、価格を引き上げてくる一方で、競合他社も参入し、ますます価格は高騰し、破格の値段が付いていました。
 
こうしたことをきっかけに、私たちはアニメが海外で成功する可能性を認識し、海外進出に注力するようになりました。もちろん国内市場の対応も必要でしたが、海外でアニメシリーズをどのように伸ばすのかを考えながら、急速に広がるアニメブームを見逃しませんでした。すでにある程度のネットワークを築いていたので、『呪術廻戦』や『葬送のフリーレン』、『薬屋のひとりごと』のなどの作品が扱えるようになりました。来年出される作品のなかでも、最も注目しているのは『怪獣8号』という作品です。
 
演劇事業は、帝国劇場とシアタークリエという二つの劇場を保有していて、原則として、東宝の作品のみを上演しています。帝国劇場では年間10本程度、クリエは15本から20本程度、年間25から30ぐらいの作品を企画・製作し上映しています。長寿公演の『レ・ミゼラブル』は30年以上上演しています。それに加え新作として、『この世界の片隅に』などに挑戦しています。また、『千と千尋の神隠し』は後でまたお話しますが、2024年はロンドン公演を、日本人キャストでやるというなかなか画期的なチャレンジもします。
 
演劇は一時期、ほんと難しくて。コロナ前にミュージカルが育ってきて、東宝の中でも演劇事業内で利益がしっかり出していたのですが、コロナ禍ではほんとに苦しかったですね。だって、社会が「お客さんこないでください。やっても半分の座席数でやってください」と人流を防いでいるわけですから。お客さんが来てくれたとしても「声は出さないでください。声援は控えてください」って。演劇は至近距離でセリフいって、歌をうたうわけですから、一人でもコロナになれば、そこで公演はストップです。コロナ禍の3年間のキャンセル数を数えたら愕然としました。キャンセルになった公演に対する支援はVIPOさんでも補助金事業をやっていましたが、それも、全部に対してというわけにはいきません。なので、あの時のことを思い出すとつらいですが、一番辛かったのは演者のみなさんだと思います。
 
不動産事業は先述のとおり、当社の利益の土台となっています。映画館を建てた土地を所有しており、新規買い付けすることなく減価償却が終わった古い保有物件を新しいビルに建て替えていくという有利な状況にあります。さらに、昔の映画館があった場所は、東京だったら新宿や日比谷など、駅前の一等地が多いため、これを活かして不動産を展開できるのが当社の強みの一つです。これは、コロナの最中に東宝が赤字にならずに済んだ理由の一つです。もう一つの理由はアニメ事業で、海外で配信ビジネスが伸びたこと。これらの要素があってこそ、当社の利益が十分確保できたのではないかと思っています。
 

「TOHO VISION 2032 東宝グループ経営戦略」
創立100周年を見据えた10年計画を変化のスタートに

 
 

「企画&IP」が成長戦略のキーポイント
 
2022年に「TOHO VISION 2032東宝グループ経営戦略」を発表しました。中期経営計画は通常3年ごとに発表していますが、コロナで本来出すべき時期に一度見送ることになりました。翌年に中期経営計画を立てる際に、2030年はSDGsの最初のゴールだからVISION 2030をゴールにしようという話になりました。ただ東宝の創立100周年が2032年なのでそれに合わせて10年計画として「TOHO VISION 2032東宝グループ経営戦略」を作りました。三つの重要なポイントや四つのキーワード、財務イメージや目指す姿などが盛り込まれていますが、実は作成から1年半経って、足りない部分や十分に議論されていなかった部分が出てきて、今、次の中計をどう出すかで議論をしています。ただ、こういう成長戦略を打ち出せたというのは、この1年半の東宝の変化のスタートだと思っています。
 
「企画&IP」の創出と展開については、われわれにとって最も重要で、自分たちにしかできないことって『ゴジラ』なんですよね。現在『ゴジラ-1.0』は日本で上映中ですが、それ以外にアメリカのレジェンダリー・ピクチャーズという所がゴジラの作品を既に3作製作しており、その続編『ゴジラ×コング 新たなる帝国』が2024年4月に公開されます。製作費は全て200億円以上の、ものすごく大きな作品です。
 
また、Apple TV+で配信される『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』のようなシリーズ作品だと、アメリカでは、1話あたりの製作費は約20億円かかります。この作品の撮影の一部を東京で行ったのですが、こんなことしたらお金がかかるよなと思うほどに贅沢でした。新宿3丁目の街を借り切ったり、コロナの影響で利用されていない羽田空港幻の第3ターミナルを借り切ったり。何時から何時までしか働いちゃいけない、誰々の仕事はこれしかないと。ハリウッドの製作方法ってこれなのだというのを初めて見て、多くの学びがありました。ただ、やり過ぎるとこんなにお金がかかるのだということも同時に感じました。
 

デジタル分野での積極的なM&Aと国際的なビジネス拡大
 
デジタルの活用というと、映画専門のマーケティング会社「ガイエ」を、今年M&Aで買収しました。2022年はデジタル専門のプロモーション会社「AID-DCC」もM&Aをしています。これまでヴァージンシネマズを買ってTOHOシネマズとした以外に、M&Aをあまり採ってこなかったのですが、2022年からM&Aを積極的に採用しています。われわれが苦手としているデジタルマーケティング、デジタルプロモーションを伸ばしていくことを重点的にやっていきたいと思っています。
 
ほかに海外市場の開拓でいうと、タイのCGアニメスタジオのIGLOOSTUDIOと業務提携を結びました。すでにNetflixやディズニープラスから仕事を得ていて、日本の企業からも下請けとして仕事を引き受けています。これを生かしてアニメビジネスを加速化させたいですね。そのため、新会社TOHO Globalを2023年10月1日につくり、TOHO Globalを子会社化しました。ほかにもロサンゼルスにはTOHO INTERNATIONALもあるので、近々、アジアとヨーロッパなど、中国以外の市場はカバーできるようにしたいと思っています。
 

『千と千尋の神隠し』イギリス公演に見る海外市場の可能性
 
海外展開でもう一つお話したいのは、イギリスのロンドン・コロシアムで、『千と千尋の神隠し』を日本のキャストのみで17週間にわたり公演することになりました。ロンドン・コロシアムは国立オペラ団のホームシアターで2000席以上ある100年の歴史を誇る素晴らしい劇場です。イギリスから来たプロデューサーが日本公演を見て、ほれ込んでくださり、どうしてもロンドンでやりたいとのことで、決定しました。
 
イギリス公演のポスターは、イギリスのプロデューサーが自ら手がけたポスターです。スタジオジブリは基本的には自社でポスターを制作しますから、世界で唯一ジブリが作っていない特別なポスターです。驚くべきことに、このポスター以外の情報は公開していないのに、2024年の4月公演で半年も前にしてチケットが8割売れています。びっくりしましたね。しかも、最初に興味ある人たちに先行販売し、徐々に売れ始めるなかで値段が上がっていく仕組み。評判が高まってくると最終的にチケット代が同じ席でも4万円になります。売れれば売れるほど利益になる。こんな売り方をブロードウェイやウエストエンドはしていたと知れただけでも、価値がありました。
 
 

 
市井  『千と千尋の神隠し』ロンドン公演について、日本語での上演であるため、IPを所有するという形で、原作料だけでなく興行収入も含めて入ってくるということですか。
 
松岡  そうですね。共同製作者の形で入るので、製作費、劇場の費用などを50パーセントずつ負担することにし、リスクを共有しています。
 
市井  イギリス以外で上演を検討する場合、その人と組まなければ100パーセント自分たちでやれる権利があるということですか。
 
松岡  今回はイギリスだから彼らと組んでいますが、他の国に行く際は自社でやるのか、現地の人たちと組むのかはまだ決めていません。
 
市井  先ほどの劇場のキャパが2000人ぐらい、帝国劇場と同じぐらいで、それが8割売れている、しかも日本語で。ということは他の人たちもチャンスがあるのではないでしょうか。日本語での公演は初めてのケース。オールジャパンとして大成功してもらいたいですね。これから続く方たちが生まれていくと思います。
 
 

〈後編〉松岡社長に聞く!(受講者からの質問コーナー)

 
 

市井  それではこれから、参加者のみなさんから寄せられた質問に答えていただきます。
Q1. アジア版グラミー賞が成功するかどうか?
なかなか難しい質問ですが、どうでしょうか?
 
松岡  文化庁の都倉長官から、音楽の分野において、日本の発信力広報が求められているというご意向を伺いました。日本だけで集まっていてもなかなかできないけれど、世界だとまた規模が大きくなってしまう。せっかく隣にK-POPの人たちがいるわけだから、そこを含んでアジアの1番、アジアの楽曲のベストというのを出していく。その発信地が日本であるべきだという考えです。
 
市井  アジア版、そうするとK-POPも含まれることになり、場合によっては日本の楽曲があまり入ってこないっていうケースも十分考えられるということですね。
 
松岡  そういうことだと私は理解しています。
 
市井  これはすごいグッドニュースですよね。これもまたアジアの音楽文化の発信のきっかけになっていけばと思います。
 

映画製作とシネコンの課題
 
市井  Q2. 映画業界全体についての質問です。100億円以上の大ヒット作品がシネコンでたくさん上映される一方ですぐに打ち切られてしまう作品と二極化していますが、この流れはこのまま続いていくのでしょうか?
 
松岡  これは本当に映画業界として考えると由々しき問題で、よろしくないなと思いますね。ただ、残念ながらこの傾向は続くと思っています。映画は上映に2時間以上かかります。まず映画館に足を運んで、お金を払って、全てのことを放棄して映画に集中して、なおかつその作品が面白いか面白くないかは観てみないと分からない。なかなか高いハードルだと思います。
 
言い換えれば、観客が集まる映画はみんなが行って、結果として特大ヒットが生まれる。中間のものは注目されないかもしれません。小さいものは、ものすごく熱狂的なファンが見に行くので小さい作品として成立しているのではないかと思います。ですから、規模は違うけれども絶対に見たいという人がいる作品でないと、映画館に集客するのは難しいと思いますし、今後は製作本数が減るのではないかと思います。したがって、作られる映画のレベルが上がらない限りは、お客さんに映画館に来てもらうハードルは高くなる一方で、簡単な時代ではないとは思っています。
 
市井  受講者の方から、劇場に付加価値を高めていかなければいけないという意見もありました。
Q3. 作品が二極化しているなかで来てもらうためには、劇場をそれ相応の場所にしていく必要があると思いますが、それについてはどうですか?
 
松岡  はい、わたしもそう思います。どんなものでもいつでも簡単に見られるような配信の時代になっているので、これは圧倒的な違いだと思います。映画はとにかく迫力があるものじゃないとお金を払ってもらえる価値がないので、そのためには映画館の施設をアップグレードして、設備をよくして特別な場所にしていく必要があると思います。
 

海外展開について
 
市井  Q4. 実写版とアニメ版で海外展開を促進するためには何が必要でしょうか。
 
松岡  これは、われわれにとっては永遠のテーマで、これといった策がありません。アニメは世界を目指してないのに知らぬ間に世界に広まったという印象です。今はビジネスとして当然、海外進出は念頭に置いていますが、制作陣は必ずしも世界のことを意識しているとは言えないと思います。実写もできるかと言うと、そうはいかないのです。
 
実写に関しては、これは私の持論ですが、今までのやり方で日本の収入だけをあてにしてやっている限りは、海外進出はできないのではないのかと思います。理由は、これから日本の映画興行市場は、飛躍的に成長することはなかなかないでしょうし、世界的に見ても映画業界は縮小する可能性のほうが高いと思うからです。日本だけでは先細っていくとしたら、海外には何十倍の市場があるわけですから、考えを切り替えてもいいのではという人たちが徐々に増えてきています。ただ、どうやっていいか分からないようです。それは共同製作を通じて世界を知るということに尽きるのではないかと思います。
 
2023年4月に設立したTOHO Tomboピクチャーズは、海外の映画や映像を日本に来て撮影をするときのスタッフ、クルーを全て提供できる会社です。TOHO Tomboピクチャーズに東宝の社員も何人かいて、製作プロセスや、バジェット、必要な機材のことなどを学び、それを東宝にも還元していく。いくつもの事案に取り組む間に世界のレベルに近づいていってほしいと思っています。
 
市井  時間はかかりますが、確実に共同製作のほうには動いてきていますよね。海外展開で今後、何が重要になってくるか、結論としては知ることということでしょうか。
 
松岡  できるだけ自らのポジションと世界のポジションの違いを知って、どう埋めたらいいかということを意識していたいですね。
 
市井  では、経営に関する質問です。
Q5. 理念やパーパス、中期計画を従業員全体にどのように浸透させているか教えていただけますか?
 
松岡  率直に言うと、まだ全従業員には浸透していないと思っています。中期計画はトップダウンで進めており、社員の意見がほとんど反映されていないため、社員たちは上から突然降ってきたものと感じているのです。次に取り組む際は、絶対にボトムアップで進めるべきだと感じています。自身のミッションとは言えませんが、社長に就任してからは、個別に30分ずつ全社員と1on1の面談を行っています。何でも質問してくださいと伝えています。ただ、全社員が400人近くいるので、まずは本社の社員に焦点を当てて行っています。
 
これまでのアプローチは非常に定量的でした。社員との対話の中で何度も指摘されたのは、東宝の目指す姿については数字だけでなく、どのような社員像を求めているか、会社が社員に提供すべきことについての定性的な要素が足りていないということでした。特にこの点に関しては議論を深め、社員たちが自身のものとして捉え、意見が反映されていると感じることで、理解が進むと考えています。
 
市井  Q6.TOHO Globalの設立理由と、北米を意識されている理由をお聞かせください。
 
松岡  TOHO Global設立の理由は、海外事業の迅速な展開が目的です。もちろん東宝の国際部門ですることもできたのですが、東宝の強みは、仕事を非常に丁寧に行い、必要なことを確実にチェックしてミスのないようにする点です。とても素晴らしいと思います。ただ、そのアプローチだと海外事業の急速な展開には追いつけません。
 
さらに、ますます事業が大きくなってくると、移転価格税制の問題も浮上してきます。今、ロサンゼルスにある国際東宝は歴史はあるのですが、現地採用をするにあたって東宝の条件とか雇用形態だと一人も雇えません。ますます東宝のルールから外れてしまう状況です。この規模になった以上、経営統括会社のような形にし、しっかりとガバナンスは確立しつつ、東宝スタンダードではないアプローチで進めることにしました。それがTOHO Globalを設立した理由で、その下にTOHO INTERNATIONALを孫会社として置いて、将来的にはアジアとヨーロッパを管理する会社をつくって、TOHO Globalが全世界を俯瞰していく方針です。
 
市井  その場合は、東宝にいる人がTOHO Globalに出向する形になるのですね。
 
松岡  はい、出向しています。
 
市井  それは分かりやすいですね。北米を意識されている理由は何でしょう。
 
松岡  北米は利益や収入の面で優れています。中国で『すずめの戸締まり』が大ヒットし、中国の興行収入が日本を上回ったこともありました。しかし、手残りで考えるとそこまで大きな利益でありませんでした。日本円で150億円以上の興行収入があり、その半分近くが配給収入で、そこから宣伝費その他の経費を引いた後、残りの部分を配給手数料として委員会に渡す仕組みがあります。しかし、中国だと興行収入の二十数パーセントしか得られません。しかも、リスクは大きいのです。
 
『すずめの戸締まり』は非常にラッキーな作品でした。この映画が公開されたのは、映画館が閉鎖され、アメリカ映画も日本映画もほとんど公開されていない後でした。そのタイミングで『SLAM DUNK』や『すずめの戸締まり』などがはまったため、1年早かったら上映できない可能性があり、収入ゼロになる危険がありました。
 
韓国の興行事情は今ひどく、収益がコロナ前の五十何パーセントぐらいとのことです。その中で日本のアニメが圧倒的な存在感なので、ヒットして目立つ。韓国は中国よりはもっと攻めやすい所かもしれません。それでも、収入ベースで考えると、北米のほうが、アニメ全体の大きな市場となっています。そのため、北米に注力しているのです。
 
市井  Q7. 次は東宝大学についての質問です。どのようなことをされていていますか?
 
松岡  これは東宝大学をやりたいと人事部が考えてくれました。素晴らしいアイデアです。社員がテーマを決め講話をして、映画を見て、映画の後は懇親会をします。最初はアーカイブに詳しい人が、アーカイブの重要性を語ります。その後リストアした古い映画を見て、懇親会。2回目は特撮について語ってもらい、特撮の作品。この前、『悪人』を撮った李監督に来ていただいて、『悪人』のときのエピソードを含めて語ってもらいました。映画の後は懇親会です。李監督のときは100人近くが参加しました。
 
社員同士のコミュニケーションがとても活発で、どの会社にも、その人だけが知っている面白いエピソードがたくさんありますよね。そういった知る人ぞ知るエピソードを共有できる場があり、その人にスポットライトが当たるのは素晴らしいと思います。だから、このような活動を続けてほしいと思います。
 
市井  Q8. 仕事に関わるところで一番うまくいった成功例はなんですか?
 
松岡  東宝東和では、ユニバーサル・ピクチャーズとの事業をスタートさせ、ビジネスモデルを変えた点です。買い付けはリスキーで、何となく売れそうな映画を買うのですけど、競争が激化すると価格が上昇し、採算が合わなくなることがありました。そこで、会社の未来を見据えて新たなアプローチを模索し、小規模な製作会社の配給委託を受けることにしました。これにより、リスクが低い手数料ビジネスに転換しました。リスクは低くなった分、代わりに大きな利益も望めませんけどね(笑)
 
次に取り組んだのが国際共同製作プロジェクトで、製作費の約50パーセントを日本とイギリス、フランス、ドイツの4カ国で出し、残りはメジャースタジオが出資し、著作権を共有する形態です。世界中での収益が発生するため、リスクヘッジになります。そうした取り組みから、ファンドや投資に進出し、メジャースタジオとの関係を築くことができました。
 
最終的に、昔、ユニバーサルとパラマウントが設立した世界的な配給会社「UIP」が解体し、UもPも独立する展開がありました。偶然にもUとの関係があり、メジャースタジオの作品が定期的に供給され、3年先にどの映画が来るかが分かる、フランチャイズならシリーズが何年に来るのが分かる。リスクが低く、予測可能なビジネスができるようになりました。それに加えて、パラマウントも扱うようになったので、結果、日本におけるUIPに東宝はなったわけですよね。これはものすごくビジネスモデルを変えたから、自分の中では成功だったと思います。
 
市井  Q9. 『ゴジラ』で初めて、東宝がアメリカや北米で直接配給することになりましたが、年間何本ぐらい北米国内で配給するのでしょうか?
 
松岡  『ゴジラ』は本当にテストケースです。アメリカでの劇場配給は日本の映画にとってまだ少ない部類に入ります。特に東宝の実写映画に関して『怪物』は限定公開されている可能性がありますが、『シン・ゴジラ』のようにきちんと劇場公開されたものは7年から8年の間にほとんどないと思います。すべての日本映画をアメリカで公開するつもりはありませんし、難しいと思います。
 
ただ、アニメに関しては多くのチャンスがあると思います。例えば『呪術廻戦』はアメリカで50億円ほどの興行収入を記録し、『ヒロアカ』は約20億以上です。2024年は『SPY×FAMILY』も控えており、ある程度の数字を記録するのではないかと期待しています。また、『SLAM DUNK』や『ONE PIECE』といった作品も注目されていますし、『すずめの戸締まり』は十数億円の興収を上げました。日本のアニメはアメリカの劇場ビジネスにおいて重要な存在感を持っていると思います。
 
2022年12月には、タイで開催されたシネアジアというイベントがありました。私が表彰されることになり、バンコクを訪れました。その際に、アメリカの興行組合のメンバーから「アニメはすごい、数字以上の価値がある」といわれました。「うちの娘なんかBTSのコンサート映画とアニメしか見に行かないんだから」とも言っていましたね。それで、いろいろ調べてみたら、本当にアニメは存在が強烈であることが分かりました。
 
そのときに「アニメだけじゃなく、実写も頑張りなよ」ともアドバイスをもらったので、実現の可能性を調べてみたら、アメリカで自社配給するのはそう難しいことではないと分かりました。ですから、やってみようと思ったんですね。将来的には、アニメの作品はやってみたいと思います。『ゴジラ』のような知名度のあるものはなかなかありませんが、チャンスがあれば大きな作品にも挑戦したいと思います。
 
市井  Q10. 大きい作品を、自分たちで配給することによるリスクは何がありますか?
 
松岡  宣伝費を自分で持たなければなりません。他の人に頼む場合はミニマムギャランティーという形で、お金を先にもらう。それでリスクヘッジはされますが、配給会社が宣伝費をかけて興行して、一定の収入が来ないと、追加印税が戻ってこないわけです。今回、われわれは数百万ドルかけて宣伝をしましたが、それを超えた後は全部自分たちの収入です。一定の興行収入までいって、宣伝費さえ回収してしまえば、あとは全部われわれのものになるので、うまくいったときの利益率は高いです。『ゴジラ』は勝算があるのではと思ったので、自社配給することにしました。
 
市井  Q11. 全社員との1on1の面談で、若い人からの話で、こういうビジネスに展開できそうと気付きがあるものでしょうか。
 
松岡  たくさんあります。気付きの宝庫なので、本当にやってよかったと思っています。実は自分たちはこう感じているのですけど、なんで会社はこっちの方向に行くのですかとか。自分たちがこういうことをやりたいのに、なんで分かってもらえないのですかとか。1on1から始まった会社の変化は結構あると思います。
 
 

 
 
市井  Q12. 最後になりますが、プライベートに関連して、過去を振り返ってやっておいてよかったとか、こういうことをやっておいたほうがいいよというアドバイスがあれば教えてください。
 
松岡  僕は小さい失敗をたくさんしていて、失敗するには二つの理由があります。一つはぽかミスです。準備不足で失敗しているので、これは直すしかないタイプのものです。もう一つの理由は、チャレンジしたからだと思います。チャレンジとは、新しいことや知らないことをするわけで、結果は見えません。それに対して、やったときに失敗すると非常に学べるわけです。チャレンジしたミスは今の自分に対してものすごくいい発奮材料になるし、気付きがたくさんあります。次はもっと良くしようという意欲にもなります。
 
社員に対しての今年のキーワードは「チャレンジ」です。私は、「今年はチャレンジしましょう、チャレンジ、チャレンジ」と言い続けています。その際に重要なのは、チャレンジには失敗やリスクが付きものであるということです。だからこそ、恐れずにやってほしいと思っています。失敗を恐れずに挑戦することが大切ですが、失敗を繰り返すことでますます失敗が怖くなってしまうこともあります。ですが「失敗しないように」ではなく、「チャレンジをする」というスタンスです。年齢を重ね、ポジションが上がってもチャレンジはできるけれど、そこでいきなりチャレンジしようとしてもなかなかできることではないので、今のうちにチャレンジする癖をつけていくといいのではないかと思います。
 

VIPOアカデミー校長 市井より
 
丁寧に、わかりやすく、且つ誠実に事業の説明や質問への回答をする姿が印象的でした。又、常に自分の実施していることやこれから実施しようとすることが正しいのかを客観的に見ながら、事業を進めていることが感じられました。

社長就任後短い期間に、特に海外展開において、様々な施策を実施していますが、今後も全社員との1on1を継続し、更に素晴らしい会社に成長していくことを楽しみにしています。そして、社長業と並行して、長期的な視野を持って、映像業界もリードすることを期待しております。
 
 

画像・参考資料:©TOHO CO., LTD. All Rights Reserved

 
 

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映画『ゴジラ×コング 新たなる帝国』2024年4月26日 日本公開

 
 

 
 

松岡 宏泰 Hiroyasu MATSUOKA
東宝株式会社 代表取締役社長

  • 経歴:
    1966年 イタリア・ローマ出身
    1989年 慶應義塾大学 法学部法律学科 卒業
    1991年 米国オルブライト大学 経営学科 卒業
    1992年 米国ピッツバーグ大学 経営大学院 卒業
    1992年 米国インターナショナル・クリエイティブ・マネジメント社 入社
    1994年 東宝東和株式会社 入社
    1998-2001年 同社 取締役
    2001-2008年 同社 常務取締役
    2008-2015年 同社 代表取締役社長
    2015-2020年 同社 代表取締役会長
    2020年- 同社 取締役会長
    2014年 東宝株式会社 取締役 就任
    2014-2018年 同社 取締役
    2018-2021年 同社 常務取締役
    2021-2022年 同社 取締役常務執行役員
    2022年 東宝株式会社 代表取締役社長 就任 [現職]


 
 


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